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本を書く医師 Top感染症と伝染病はどう違う
                

感染症と伝染病はどう違う


こんにちは。キーウィです。

 感染というと infection を使うことが多いのですが、contagion という言い方もあります。辞書によっては contagious disease を接触感染する病気としていたり、infectious disease を感染症、contagious disease を伝染病と訳し分けたりしています。では、感染症と伝染病はどう違うのでしょうか?

 現在の日本の法律では、細菌、ウィルス、寄生虫などの病原微生物によって起きる病気をすべて感染症と表現しています。その一方で、児童・生徒・学生・教職員の保健管理について定めた学校保健法では、感染症のうち人から人へうつる病気を特に伝染病と呼んでいます。
             
 例えば虫垂炎、いわゆる盲腸炎は細菌感染が原因ですが、他の人にはうつりません。だから日本の基準に基づけば、虫垂炎は感染症ではあっても伝染病ではないということになります。

 英語の infection と contagion について、オックスフォード現代英英辞典はこう定義しています。

 Infection: an illness that is caused by bacteria or a virus and that affects one part of the body.
 (細菌またはウィルスに起因し、体の一部を冒す疾患)

 contagion: the spreading of a disease by people touching each other.
 (人が接触することで疾患が拡がること)

 このように infection は人から人への感染の拡がりには触れていません。その意味では、infectious disease を感染症、contagious disease を伝染病と訳し分けるので問題なさそうです。ただし、一般向けの翻訳では、すべて感染症で通すほうが分かりやすいかもしれません。感染症と伝染病の定義の違い自体をご存知ない場合が多いでしょうから。