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コンタクトが曇りやすくなっていませんか 桜をはじめ、春の花々が咲き競う季節、コンタクトレンズを使っている患者さんから寄せられる相談で多いのが 「目が霞む」 「レンズが曇る」 というものです。 風が強く、まだ空気が乾燥しているこの時期は花粉やほこり、黄砂が目に入る機会が多く、花粉アレルギーのある人はもちろん、特に症状が出ない人にとってもコンタクトレンズによるトラブルが起きやすくなります。レンズは数時間で汚れることもありますから使い捨てコンタクトレンズも例外ではありません。 コンタクトレンズの汚れは油汚れとタンパク汚れに大きく分けられますが、ここで問題になるのはタンパク汚れ。その原因は、ずばり、涙です。 ……涙? 水みたいなものじゃないの? 違うんです。コンタクトレンズをしたまま大泣きしたら、レンズが汚れて真っ白になったという話を聞いたことはありませんか? 涙には水分以外にも、目の表面から自然にはがれ落ちた細胞、タンパク質や脂質、粘液質、カルシウムなどの、さまざまな成分が含まれています。これらの成分がレンズに付着し、変性して固まって、レンズの曇りや異物感の原因になります。 涙は、泣いていない時も含めて、常に分泌されており、コンタクトレンズは、この涙に浮かぶようにして目の表面に留まっています。ドライアイになった経験がある人はわかると思いますが、目が乾燥したらコンタクトレンズが外れてしまいますね。このようにコンタクトレンズの装用には涙の存在が欠かせませんが、その涙が、レンズを汚すのです。 特にアレルギー体質の人は、涙に含まれるタンパク質の量が多く、レンズが非常に汚れやすいことがわかっています。レンズが汚れれば酸素透過性が低下しますし、変性したタンパク質が引き金になって、感染症が起きたり、アレルギー自体が悪化したりすることも珍しくありません。 中でも要注意なのが、使い捨てのものを含むソフトコンタクトレンズです。ソフトコンタクトレンズは水を含むようにできているので、涙の中のタンパク質がレンズの芯まで浸み込みます。そのためソフトコンタクトレンズを使用している人は、タンパク除去を徹底的に行う必要があります。 洗浄しても視野の霞みが気になる場合は、使用期間の途中でも新しいものに交換する方が安全でしょう。 理想を言えば、アレルギー体質の人は、この時期だけでも眼鏡を使用するか、ハードコンタクトレンズに替えてしまう方がよいのです。コンタクトレンズの中で一番汚れが付きにくいのが高酸素透過性のハードコンタクトレンズだからです。 レンズをしつこく洗浄しても症状が続く場合は、角膜炎が起きている恐れがあるので必ず眼科を受診してください。我慢して装用を続けて治ることはありません。 |
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