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本を書く医師 Top日本語は書く文化
                

日本語は書く文化


こんにちは。キーウィです。

 英語には内容語と機能語がある、という話は聞いたことがあると思います。簡単におさらいすると、内容語は文の中で意味を示す単語を指し、具体的には名詞や動詞、副詞、形容詞の他に 5W1H からなる疑問詞、また this、that などの指示代名詞などが該当します。

 これに対して機能語は文法的な機能を果たすけれども、その単語自体としての意味を持っていない単語のことで、例えば be 動詞や、my、she などの人称代名詞に加えて a や the などの冠詞、on、in、for などの前置詞、さらには will、can、may などの助動詞などが当てはまります。
              
 文章を構成する上ではどの単語も欠かせませんが、人に何かを伝えるときに特に大切なのは内容語です。だから英語は内容語をはっきり発音する一方で、機能語は短く、弱く発音したり、省略したりする傾向があり、それが英語らしいリズムの源になっています。

 それに比べると日本語はあまり抑揚がないと言われ、演劇やスピーチのように明瞭にメッセージを伝える場合を除いては、日常会話で言葉に表情をつけるとわざとらしく不自然に聞こえます。実際に、私も中国人の知人に 「日本人って口の先っぽだけでしゃべってるよね!」 と言われたことがあります。

 ところがです。

 それは話し言葉、つまり聞く、話す、に限っての話なんですよね。日本語が俄然、活き活きするのは書き言葉。それはアルファベットしかない英語と違って漢字、平仮名、カタカナがあるからです。

 文の中核をなす内容語は基本的に漢字で表記し、それを支える機能語は平仮名、外来語はカタカナで書きますね。すると、漢字は概して画数が多いので自然に大きくなり、平仮名は相対的に小さくなります。この結果、内容語がくっきり目立って印象が強まります。

 また擬態語や擬音語については、ドカーンという音、カチカチの氷、のように機械的で直線的、強い感じをカタカナで表現し、しくしく泣く、ふんわりした肌触り、のように、柔らかく弱い感じを平仮名で書きます。

 このように日本語は視覚に訴える力がとても強く表情豊かなので、3種類の文字の組み合わせによって正確に内容を伝えるだけでなく、そのニュアンスや情景まで読み手に伝えることが可能なのです。
     
 難しい漢字は読めないから平仮名で書くべきだとして、「失そう」 「う回」 などのいわゆる交ぜ書きや平仮名ばかりの表記を目にすることがあります。これはひどいですね。日本語の魅力も強みも台無しです。難しい漢字には振り仮名を打てばよいでしょう。振り仮名を使えるのも日本語の特徴です。

 さらに言えば、書き言葉は読み方が分からなくてもよい場合もあるのです。例えば 「きょうがくの頭のう」 と 「驚愕の頭脳」 のどちらが伝わりやすいでしょうか。

 「きょうがく」 では何のことやらわかりませんが、漢字で書いてあれば、仮に読めなくても、「驚」 の字から、何かびっくりするようなことなんだろうと推測でき、全体の持つ固い印象と合わせ、とんでもない頭の持ち主であることが伝わるように思います。