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乳がん検診、どの検査が一番いいの? 日本でも乳がんが増えており、その背景には食生活の欧米化による動物性食品の摂取量増加や、初潮年齢の低下、初産年齢の上昇と少子化などの女性の生活環境の変化があると言われています。 乳がんは自分で発見できる数少ないがんの一つで、自己検診が有効です。テレビや雑誌で紹介している正式な自己検診を行うに越したことはないのですが、お風呂で手のひらに石鹸をつけてスルスルと滑らせるだけでも違います。 人の手は敏感なので、毎日触って手のひらに正常な状態を覚えさせておくと、いつもと感触が違うと何となくわかるものです。少しでも異変を感じたら次回の定期検診を待つことなく、ただちに外科、できれば乳腺外科を受診してください。 現在行われている乳がん検診は、視触診+マンモグラフィ(乳房X線)の組み合わせが一般的で、一部の病医院で乳房超音波 (エコー) 検査が実施されています。 乳がんへの関心が高まる中で、どの検査が一番いいのかという相談を受けるようになりました。 マンモグラフィは乳腺撮影用に開発された特殊なレントゲン検査で、乳房を片方ずつ、上下または左右から圧迫して撮影します。乳腺組織は個人差が大きいので、必ず両側の乳房を撮影して比較しながら異常を探します (マンモグラフィの痛みについて はページ下部をご覧ください)。 視触診の乳がん発見率は60%ほどで、マンモグラフィや超音波による発見率が80%以上あるのに比べると見劣りします。そのため中には視触診に否定的な専門家もいるようです。 これに対してマンモグラフィは感度が高く、ごく小さな早期乳がんを発見できる可能性があります。欧米ではマンモグラフィの導入により乳がんの死亡数が20~30%減少したと言われています。 しかし、マンモグラフィは撮影範囲が限られ、すべての乳腺領域を写すことができません。また、日本人を含むアジア人の比較的若い女性は乳腺組織の密度が高いため、特に表面にある小さな固まりが見逃されやすいという欠点があります。また乳頭からの異常分泌物は視触診でしかわかりません。 つまり視触診の乳がん発見率が60%、マンモグラフィによる発見率が80%といっても、マンモグラフィで視触診を完全にカバーできるわけではなく得意分野が違うのです。実際に、マンモグラフィでは異常なしだったのに視触診で乳がんを発見できた例もあり、両者を併用することで乳がんの発見率が90%以上になります。 この視触診とマンモグラフィの他に、最近増えている超音波 (エコー) 検査では、その名の通り超音波を使って乳房の内部を観察します。超音波は体に無害で、痛みも全くありません。 マンモグラフィと比べて若い世代の乳腺に発生した小さな固まりを発見しやすいのが特徴で、マンモグラフィと組み合わせることで乳がんの発見率が97%にもなると言われています。 ただ、医学的に問題のない良性の変化を異常所見としてしまうことがあり、超音波検査が検診として本当に有効かどうかの結論は出ていません。有望な検査法ではありますが、まだ解決すべき課題が残っています。 以上のことから、「一番いい検査」 というものはなく、現時点では視触診とマンモグラフィ(乳房X線) の長所を組み合わせる現在の検診方法か、可能ならマンモグラフィと超音波検査を両方受ける方法がベストです。現在公的な補助が出るのは基本的に二年に一回ですが、医学的には年に一回、できれば半年に一回受けるのが理想です。 マンモグラフィの痛みについて マンモグラフィには検査時に痛みを伴うという大きな欠点があります。痛みは個人差に加えて月経周期に左右されるので、月経開始5日~7日後に受けると痛みが軽いはずです。また、意識的に胸の力を抜くと痛みが軽減されることもあります。 なお、胸の大きさと痛みの程度は関係ありません。現在、軽く押しあてるだけで撮影できる装置の開発が進んでいます。病気を見つけるための大切な処置であることをご理解いただき、いましばらくご辛抱ください。 |
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