「本を書く医師」が医学情報をわかりやすく伝えます
|
||
|
そのカラコン安全ですか 黒目を強調して目の印象を強めたり、瞳の色を変えて手軽にイメージチェンジしたりできるカラーコンタクトレンズ (カラコン)。度が入っていないことから、以前は雑貨扱いで、簡単に手に入れることができました。 しかし度が入っていようがなかろうが、眼はとても敏感で、感染症や傷に弱い組織です。実際にカラコンによる目のトラブルが多発したため、2011年2月からは視力矯正用のコンタクトレンズと同様に、無許可での製造、販売、広告ができなくなりました。 ところがインターネットを利用して海外から取り寄せたり、海外旅行で購入してこっそり持ち帰ったりする、いわゆる個人輸入が後を絶ちません。 大部分が韓国製で、年500万枚と推定されています。韓国にはカラコンに関する規制が一切ないので、保健衛生上の危険性が極めて深刻です。 カラコンによる目の病気は、角膜炎や角膜びらん(ただれ)が中心です。調査によるばらつきはありますが、そのうち失明につながる恐れのある重症の角膜潰瘍 (かいよう) や角膜浸潤が、13%から30%を占めていました。 特に問題になるのは、カラコンが極めて酸素を通しにくいことです。酸素透過性の高いレンズと比較すると、カラコンの酸素透過性は半分以下で、酸素不足に陥った角膜上皮は死んで剥がれ落ち、無防備になった角膜は細菌の絶好の住みかになります。 さらに、調査によると、海外の製品はすべて色素がレンズの表面に露出しており、その半数で色素に含まれる金属が漏れ出ていました。また、低品質のレンズは表面や厚さが不均一なため、装着するだけで角膜に無数の傷がつきます。 それと同時に、使用する側も、色落ちを恐れて十分洗浄しなかったり、イメージを壊したくないから装着したまま眠ったりする人が少なくありません。 しかもカラコンに限らず、ソフトレンズには、角膜障害があっても気づきにくいという欠点があり、自覚症状のないまま炎症や傷がどんどん悪化します。カラコンをはずすと少し目がしょぼしょぼするけど、装着している間は大丈夫、というのが典型例で、すでに角膜障害が始まっています。 安心しておしゃれを楽しみたいのなら、正式に承認を受けた安全なカラコンを眼科で処方してもらってください。安易に個人輸入に頼った結果、一番悲しい思いをするのは使う本人と、周囲の大切な人たちです。 お金の問題ではありませんが、万が一トラブルがあった場合も、個人輸入したカラコンでは一切補償はされませんし、製造した会社が罰せられることもありません。 |
|
Copyright (C) 2011 「本を書く医師」事務所 All Rights Reserved. |