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おなかの内臓脂肪を落とすと確認された二つの習慣 メタボリックシンドロームの危険性が明らかになったのを受けて、腹囲(おなかまわり)を測定する、いわゆるメタボ健診が始まりました。腹囲の基準値は、男性が85cmまで、女性は90cmまでと定められています。 基準値が男女で違うのは、体につく脂肪の性質が違うからです。インスリンの効きを悪くして糖尿病を招く悪玉アディポサイトカインという物質がありますが、男性で増えやすい内臓脂肪がこの物質を多く分泌するのに対し、女性で目立つ皮下脂肪は少ししか分泌しません。 その結果、日本人男性の糖尿病発症率は女性の倍近く高くなっています。では、この内臓脂肪がどのくらいついたら要注意でしょうか。 糖尿病は肥満気味の人がなる病気、というイメージがあります。それなら腹囲が基準をちょっと超えていても、全体として肥満でなければ、あまり心配ないだろうと考える人が少なくありません。 残念ながら、これは間違いです。わかりやすい例として、米国人と日本人で考えてみましょう。米国と日本は、肥満者の割合はもとより、肥満の程度も大きく異なります。 米国では、体重が300キロ、400キロという人が話題になるのに対し、日本人は、力士などの特殊な例を除くと、どんなに太っても200キロになることはありません。 しかしここからが問題です。米国に移住した日系人と、先祖代々、欧米で暮らす米国白人。食生活は同じでも、日系人のほうが遥かに痩せています。しかし驚くなかれ、米国白人の糖尿病発症率は、日系人の半分以下です。日系人は、痩せているのに糖尿病に2倍なりやすいのです。 その原因が内臓脂肪です。白人は肥満していても、大部分が皮下脂肪で内臓脂肪があまりつきません。だから、相当太らない限り糖尿病にならないのです。 ところが、日本人は内臓脂肪がつきやすいので、糖尿病患者さんの平均体重は正常範囲内にとどまり、糖尿病でない日本人の平均と少ししか違いません。肥満が糖尿病に悪いといっても、日本人は、おなかが少し出る程度の肥満でも危険信号だということです。 では、おなかについた内臓脂肪を効率よく落とすにはどうしたらよいでしょう。健診センターでの実測で、おなかまわりが1年で10センチ以上減った男性を対象に、著者自身が聞き取り調査を行いました。すると圧倒的に多かった回答は、「徒歩ないし自転車通勤」と「腹筋運動」でした。 徒歩の人は往復で5~7キロ、自転車の人は片道40分くらいかけて毎日通勤。腹筋は一日に70~100回行う人が多く、全員が、お正月や出張先でも休まず続けていると答えました。中には、こんなメッセージを寄せてくれた人もいます。 「みんな、おなかまわりが気になるって言うけど、僕にいわせりゃ簡単なんですよ。続けるだけ。続けるだけで絶対落ちますよ!」 |
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