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コンタクトやレーシックの人に老眼が始まったらどうなる? 近視の人は老眼になりにくい、と聞いたことはありませんか。本当でしょうか? 物を見る仕組みは、よくカメラに例えられます。目には水晶体という構造があり、これがちょうどカメラのレンズにあたる働きをしています。フィルムにあたる構造が網膜です。 物を見るときは、目の中の小さな筋肉が働いて水晶体の厚さを変化させます。これにより、その物体が正しく焦点が合った状態で網膜に写るのです。 近視の人は、焦点が網膜の手前で結んでしまうので、画像がぼやけてしまいます。それでも、眼鏡やコンタクトレンズを使えば、焦点の位置をずらして、網膜の上でピントが合うようにできるので、物をきれいに見ることができます。 これに対して、老眼ではピントの調節自体が難しくなります。近視と老眼は全くの別物なので、老眼はすべての人に起こります。近視の人も例外ではありません。 ただし、近視用の眼鏡には、老眼による調節力の低下を補う効果があるため、度の強い近視用眼鏡をかけていると一生を通じて老眼鏡が必要ないこともあります。しかし近視用のコンタクトレンズには老眼をカバーする力はあまりありません。 実は、老眼は 10~15歳くらいからすでに始まっていて、以後どんどん進み、多少個人差はあっても60歳ごろまで進行します。ですから老眼鏡をかけ始めた40代から50代の人は、約3年ごとに度数に合わせて眼鏡を作り変えてください。 なお誤解している人が時々いますが、老眼鏡をかけてもかけなくても老眼の進行速度は変わりません。 さて、レーシックには大きな問題があります。レーシックを受けた人は老眼の症状が強くなるのです。また、将来、白内障になった時に手術がしにくくなる、という欠点も指摘されています。眼科の先生を含め、医師はレーシックを受けない人のほうが多いですね。 レーシックは、現在もなお、未完成の技術です。レーシック手術による事故が事故情報データバンクに寄せられたことから、消費者庁および国民生活センターは、レーシック手術を安易に受けるのは避け、リスクの説明を十分受けるよう呼びかけています。 |
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